相談者の「演技」に気づいていますか?
「私は何も悪いことしてないんです。全部彼が悪いんです」 「会社でいじめられてるんですけど、私は真面目に仕事してるだけなのに…」
こんな相談を受けた時、あなたはどう感じますか?
話を聞いていると、なんだか辻褄が合わない。なんだか気持ちが空回りしている。でも相談者は一生懸命話している。「もしかして、これって…?」と思いながらも、どう対応していいか分からない。
相談者の多くは初対面の占い師に対して「良い人だと思われたい」という心理が働くため、無意識に自分を正当化した話をしてしまうことがあります。これは決して悪意があるわけではなく、人間として自然な防衛本能です。
同時に「かわいそうな自分を慰めて欲しい。」「自分を肯定して安心させて欲しい」心理が裏にあることも理解しておかなければなりません。
でも、嘘や建前のままでは、相談者にとって良い未来のアドバイスは出来ません。同時に現実も見て貰わなければ良い未来へ誘導することは出来ません。
上記のように相談を聞いている中で、今回の相談の「落とし所」を見つけなければなりません。
批判や否定、逆に肯定や共感するだけでは解決には導けません。
パートナーがいる場合の相談では相談者とパートナーの性格を命術で読みつつどのような解決策を見つけていくのか?が最大のポイントになります。
相談からアドバイスの流れは以下のようになります。
- 肯定・共感して信頼を得る ←今回はココの解説
- 話を聞いて貰える状況を作る
- 現実を見越した流れを作る
- 解決へのアドバイス
- アドバイス通り行動した未来を語る
本記事では1番の相談者の本音を優しく引き出し、真の解決策を提供できるプロの傾聴テクニックをお伝えします。特に「沈黙の力」を使った方法は、今日からすぐに実践できて、驚くほど効果的があります。
なぜ相談者は「嘘」をついてしまうのか?
初対面の緊張と「良い人アピール」
相談者にとって、占い師との初回セッションは面接のようなもの。 「この人に変な人だと思われたくない」 「自分の価値を理解してもらいたい」 そんな気持ちが働くのは、とても自然なことです。
私も駆け出しの頃は、この心理を理解せずに相談者の言葉をそのまま受け取って、正論正論で激推ししていた時期もあります。後になって正論を言っても信頼関係が構築されていなければ、何も相談者の幸せには繋がらないんだなと学習しました。
エゴによる自己正当化
人は誰でも「自分は間違っていない」と思いたいもの。 特に人間関係のトラブルでは:
- 相手の悪い部分だけを強調する
- 自分の落ち度は無意識に隠す
- 都合の良い解釈で事実を歪める
これらは意識的な嘘というより、自分を守るための心の働きです。
自分を守るためでもあり、自分の心を安定させる為の「自己防衛」でもあります。
中には自分のプライドを傷つけない為であったりする場合があります。→ そう思いたくない。と言う気持ち
時には妄想や虚言まで使って「相手が悪い」との主張も意外と多いのが現実です。
矛盾を見つけた時の「黄金ルール」
絶対にやってはいけないこと
相談者の話に矛盾を見つけても、その場で指摘するのはNGです。 「さっきと話が違いますよね?」 「それっておかしくないですか?」
こんな風に問い詰めてしまうと、相談者は敵対意識が強くなり、さらに自己望遠本能が働いてしまい嘘を重ねる結果になってしまいます。
相談者は自分が如何に辛い状況であったか、寂しい状況に置かれていたかを伝える為に必死になっているのです。
プロがやっている「聞いているフリ作戦」
矛盾を見つけた時こそ、表面上は普通に話を聞いているように見せかけます。 でも心の中では、その矛盾をしっかりとメモしておく。
「ああ、この人は今、自分を守ろうとしているんだな」 「本当はもっと複雑な事情があるんだろうな」「状況を思い出して辛かった時の中に身を置いて話してるんだな」
そんな風に、相談者の心理状態を分析してどこに「落とし所」があるのか?。相談者の心はどこに重点を置いていて、どこを突けば凝り固まった心が溶けて素直な気持ちになれるのか?を探ることです。
「間」を作る沈黙のテクニック
タイミングを見極める
相談者が一通り話し終わった時、そこがチャンスです。 普通なら「そうなんですね」とすぐに反応したくなりますが、ここで3〜5秒の沈黙を作ります。
話している相手が「ん?」となる程度のちょっと長い「間」を作る。これが沈黙です。
成功するともっと話してくれますし、時には泣きながら辛い状況の自分を話してくれます。
涙を流すようになればそれは「心の氷解」と考えても差し支えなく「相談者が素直になるタイミング」です。
そして、沈黙の後のフォローは「辛かったですね」と優しく言葉を掛けます。
効果的な沈黙の作り方
- 優しい視線で相談者を見つめる 批判的な目ではなく、温かく理解しようとする眼差しで
- 軽くうなずきながら待つ 「あなたの話をちゃんと受け止めています」というサインを送る
- 焦らずに待つ 相談者が何か言葉を足すまで、じっと待つ
大事なのは余裕を持つこと、沈黙を作っているからとこちらが緊張してしまっては失敗に終わります。
逆に「なんだ?変な人だな」と思われることもあるでしょう。
なぜ沈黙が効果的なのか?
人は沈黙に耐えられない生き物です。特に、自分の話を聞いてもらっている時に相手が黙っていると 「もっと説明した方がいいかな?」 「実は…」 と、本音や詳細を話し始めることが多いんです。
ここから続く内容こそが、普段 身近な人に話せない内容であり相談者が本当に話したい内容であることが多いのです。
「実は…」この言葉から続く話を聞けただけでも、相談者の心はかなりスッキリしているはずです。
私の経験では、この「間」の後に出てくる情報の8割が、セッションの核心に関わる重要な内容でした。
人は心理的にも自分が一生懸命になって話している時に「聞いてくれてるかな」「伝わっているかな?」と気になって、心配になったりするものです。
実践的なアクションプラン
今日から始められる3ステップ
ステップ1:矛盾メモを作る 相談者の話で気になった矛盾点を、手元にそっとメモしておく習慣をつけましょう。
ステップ2:沈黙カウントを身につける 相談者が話し終わったら、心の中で「1、2、3」とカウント。これだけで十分な間が作れます。
ステップ3:視線と表情を意識する 沈黙の間は、温かい眼差しと軽いうなずきで、あなたなりの言葉で「あなたを受け入れています」という意味でメッセージを送りましょう。
上級者向けのコツ
慣れてきたら、沈黙の後にこんな言葉をかけてみてください:相談を聞いていた中で相談者が一番気にいしていた事、関心の深そうだった事柄について軽く質問してみてください。
これらの言葉は、相談者にプレッシャーを与えずに、より深い話を引き出すきっかけになります。
まとめ:沈黙は最高のカウンセリングツール
相談者の嘘や建前を見抜くことは、決して相手を批判するためではありません。その人の本当の悩みを理解し、相談者に取って本当に価値のあるアドバイスをするために必要な事です。
「間」を作る沈黙のテクニックは:
- 相談者を責めることなく本音を引き出せる
- より深い信頼関係を築ける
- 的確なアドバイスができるようになる
そんなスゴい効果をもたらしてくれます。
最初は沈黙が怖く感じるかもしれませんが、大丈夫です。あなたの優しい眼差しと受容的な態度があれば、その沈黙は相談者にとって「安心して本音を話せる空間」になることでしょう。
今日のセッションから、ぜひこの「沈黙の魔法」を試してみてくださいね。相談者との関係が、きっと今までとは違う深さになることを実感していただけると思います。